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烏丸骨董店 第1話『食死(しょくじ)』(1)

  • 2007/01/09(火) 04:15:30

小説書き書き。若干本格的なヤツです。本当に若干ですが。
とりあえずchapter1を書きましたのでうp。長いので追記のほうに入れときます。

 -chapter1:来訪者―

 カランカラン――。
 来訪を告げる鐘の音が鳴って、烏丸骨董店店主、烏丸陵は目を覚ました。比喩ではない。陵はいつ来客が来てもおかしくないというのに、あろうことか店内の中央に置かれたソファーで堂々と寝ていたのだ。
 全身黒ずくめの服に身を包み、部屋の薄暗さと相まって、よく見なければその姿を認めることができない。腰まで届いていると思われる長髪も、陵が影に隠れる要因となっている。
 陵は頭を掻き、欠伸とともに大きく伸びをした。それから首を回す。ゴキゴキ、という音がいっそ気持ちがいいくらいよく響いた。
 それから――陵は来訪者の姿を見た。
 スーツとネクタイで全身を固めた男 ――典型的なサラリーマンだろうか―― が、ぽかんと口を開けて、陵のことを見ていた。大方、この店に入っていきなり店員がグータラしているところを目撃する羽目になるとは思っていなかったのだろう、完璧に面食らった顔をしている。
 一方の陵はと言うと、特に動揺している様子はなく、相手を射抜くようにまっすぐ男をねめつけている。構図としてはさながら蛇に睨まれた蛙といったところだろうか。
 ほんの数秒の沈黙。
 カランカラン――。
 「陵さん、ただいまー。まさか今日も寝ていたりなんて……あれ?」
 その沈黙を破ったのは、新たなる来訪者だった。さきほどまで目を合わせていたふたりの視線は、今や現れたその人物に注がれている。
 顔は見るからに少女。セーラー服に身を包んでいるということは、女子中学生か高校生だろうか。その少女は、目をパタパタと瞬かせ、ふたりの姿を交互に三度ほど見た。それから、サラリーマン風の男のほうを向くと、手を前に合わせた。
 「もしかして……お客さんですね」
 少女はにこりと微笑み。
 「ようこそ、烏丸骨董店へ」
 本来、陵がすべき挨拶を、代わりにしたのであった。



 「もう陵さん、あれほど店内では寝るなって言ったのに、また寝てたんですか?」
 「いや、まあね、こう誰も来ないと何もすることがなくてね……。故意ではない、許せ」
 「当然です! 意識してそんなことされてたまりますか!?」
 あの後、男は陵に促されて来客用のソファーに座らされた。今、陵と彼とはテーブル一枚を隔てて向かい合っている形になる。
 さて、現在はというと、店長である陵が店内の奥に消えていった女子高生?に大声で咎められているところだった。お陰で客のほうは完璧に置いてけぼりである。
 「とにかく、誰も来なくて寝てるなんてこと、もうこれっきりにしてくださいよ」
 呆れた顔をしながら、少女は店の奥から出てきた。その手にトレーを持ち、上にはティーカップが3つ置かれており、そのカップからは今入れたばかりであることを示す湯気がたっている。男からは座っているために角度的に中身は見えないが、流れてくる香りから推察するに、どうやらアップルティーを淹れたらしい。
 少女はそれを男側にひとつ、陵の座っている側にふたつ置くと、トレーを奥に下げて戻ってきた。
 「さてと……」
 その言葉を皮切りに、陵と少女は男のほうを向いた。
 「とりあえず、自己紹介をしておこうか。俺は烏丸陵、見ての通り、この烏丸骨董店の店長だ」
 男は、見ての通りと言われても、店長であることを示すような名札のようなものがなくてはわからないのではと思ったが、口に出すことはやめた。ここで無駄に話を捻じ曲げては時間の無駄と感じたのだ。それに、そのようなツッコミは無用であるとも考えた。
 「はじめまして。私はこの店の店員で、名前は真砂愛といいます。……ええっと、見ての通りの女子高生でもあります」
 次に自己紹介したセーラー服の少女は、愛と名乗った。こちらはやはり店員だったらしい。女子高生、と聞かされても、別段男にそういう趣味はなかったので喜ぶようなこともなかったが、先の烏丸陵の自己紹介に倣ったちょっとしたユーモアを利かせられるくらいには機転が利くらしい。それに、先ほどの会話を聞いている限り、見た目よりもずっとしっかり者のようだ。男は、愛という少女をそう評価した。
 「……特に性格云々については話す必要はないな」
 「ええ、そうですね。早く本題に入りたいので」
 そこで、男はこの店に来てはじめての言葉を発した。歳のほど20中盤と見受けられるが、声はその見た目よりも若い印象だった。鯖を読んで20前半の年齢だと言っても気付かれることはないかもしれない。あるいは年齢より老け込んでいるのかもしれないが。
 「あ、申し遅れました。私は原龍太と申します。名刺もありますのでどうぞ」
 言いながら、男はスーツの懐にしまっておいた名刺を取り出し、陵と愛のそれぞれに渡した。
 ふたりがその名刺を確認すると、そこには確かに「原 龍太」と書かれていた。紙面には、ここ最近売れ行きが好調になりだしたとある会社の名前が刷られている。一通り見終えると、陵はそれをテーブルの上に置き、愛は胸ポケットの中にしまいこんだ。
 「……さてと、龍太さん……だったか。ここがどういう店かわかっていて来たんだろうな?」
 陵は、それをわからずに来たのなら今すぐに立ち去れと言わんばかりに龍太を睨みつけた。その瞳に宿るのは、本気。
 龍太は、一瞬怯んだが、一度深く息を吐くと、姿勢を正した。
 「常識では考えられないような願いを叶えてくれる素晴らしい品を扱っている店と聞きました。ただし……その品は呪われているとも」
 「それで、お前はそれを求めに来たと?」
 「そうです」
 再び、沈黙。一分ほどだろうか、五分ほどだろうか、もしかしたらたったの30秒だったのかもしれない。いずれにしろ、その間、陵は龍太を睨み続けた。その間の空気は、龍太にとってとてつもなく重くのしかかっていた。
 「いいだろう」
 沈黙を破ったのは、その一言だった。龍太は安堵の溜め息を漏らす。どうやら、私は認められたらしい、そう思うことにした。
 「それで、お前は何を望む? ここにある品で叶えられるようなものがあればお前に提供してやる」
 「私が望むもの、それは……」
 龍太は、たっぷり一拍の間を空けると、その望みを口にした。
 「永遠の命です」



・あとがき的な何か

てなわけで書き出しました、烏丸骨董店シリーズ。と言っても話のネタはまだ二つしか考えていないわけですけれど。(苦笑)
とりあえずこの段階でネタバレはないと思いますけど、敢えてヒントを挙げるなら今回のタイトルかなぁと思います。
次回は本題切り出し。勘のいい人ならきっと結末もわかって頂けるだろうと思われる回になるはずです。
では、アディオス♪

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